企画展『絵本 おこりじぞう』四國五郎原画展

日程:7月10日(木)〜9月23日(火)

会場:アウシュヴィッツ平和博物館

協力:吹田市立平和祈念資料館

展示内容:パネル18枚

 「おこりじぞう」の物語は、広島出身の被爆者で生涯に渡り原爆孤児の救済に尽力した山口勇子さんの原作です。

 『絵本 おこりじぞう』は、山口勇子さんの物語を俳優の沼田曜一さんが朗読用に短く再構成し、四國五郎さんが表紙絵と挿絵を描き1979年に発売されました。現在76刷(2025年7月現在)を重ねるロングセラーとなっています。原作の半分に短縮された語り文に山口勇子さんから原作でよいとの許可を得、懇意にしていた四國五郎さんに絵を依頼されました。その後人形アニメにもなり、また長く国語の教科書にも掲載され、英語版、ドイツ語版も制作されました。現在でも全国各地の学校や公共施設での朗読会や朗読劇が市民の方々により開催されており、戦争や原爆を理解するための「入口」の役割を果たしている絵本です。またアメリカのオーバリン大学では、被爆を学ぶための授業の教材にも使われています。

 絵本の表紙は鳩と現代の女の子の絵、最後のページは原爆ドームとその前に広がる瓦礫の中に美しく咲く白い花。「父は、この物語全体を過去の物語ではなく、今につながるメッセージにしたかったのだと思う。最後のページの白い花は命であり未来だ。この絵本によって戦争の記憶を未来に向けて継承してほしい。その願いを現代風の表紙画と最終ページの白い花に込めたのだと思う。」とご子息の四國光さんは述べています。(『反戦平和の詩画人 四國五郎』藤原書店)

 今回は吹田市立平和祈念資料館のご協力で、パネルをお借りすることができました。展示のパネルは、原画の原寸より少し拡大された複製であることをご了承ください。