企画展 M・コシチェルニャック作品展

日時 2024年4月6日(土)〜6月24日(月)

場所 アウシュヴィッツ平和博物館 企画展示室

 アウシュヴィッツでコルベ神父と同じ棟に収容されていたポーランドの画家、M・コシチェルニャック氏によって描かれた原画です。氏は、同じ収容棟の中でコルベ神父から絵を描いてくれるようにくり返し依頼され、遂に抵抗と収容者(囚人)の励ましのために、命をかけて密かに絵を描き始めました。

 氏は「私は画家である以前に人間として、おぞましい時代の証言を伝えなければならないと考えております。また、生きのびた画家なるが故に受難者に代わって描き、それを伝えなければならない義務を背負っています。そして、地獄を体験したあの時代を、私は絵画によって語り続けています。多くの芸術家たちが多様な才能とともに抹殺されました。私は奇跡的に救出されましたが、以来私に負うべき義務は画家としてアウシュヴィッツを表すことであると考え続けています。」と述べています。

 国立アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館学芸員の見解ではM・コシチェルニャック氏は収容所美術の作家の中で最も著名な一人である。芸術家は、収容所の現実を記録する一連の絵画を制作した。それが可能であったのは、本囚人がいわゆる「良好の労働班」の一員として室内で働いていたことによる。彼はそこで、紙と筆記具を使うことができた。当初は収容所の印刷所、後には修理建設工房の事務所にいた。これらの絵画の中に、私たちは囚人たちが肩を支えられて労働から帰還する様子、長時間にわたる点呼、さらには人間の飢餓を観察した胸を打つ記録を見ることができる。絵画は囚人たちがSSの監視下洗濯所に運び、そこで働く者たちに渡した。汚れた衣服の包などの中に入れられて秘かに収容所の外に持ち出された。画家は戦後も収容所を主題に数多くの作品を制作し、それらはアウシュヴィッツの現実の悲痛な証言となっている。

「友の死を悼むコルベ神父」