朝日新聞2009年(平成21年)1月18日(日)
新聞掲載記事

苦境の下、神父の愛
アウシュビッツで身代わり死描いたペン画
高崎・新島学園短大で展示

 第2次世界大戦中のポーランドにドイツがつくったアウシュビッツ強制収容所で、妻子ある男性の身代わりになって殺されたポーランド人のカトリック神父を描いたペン画が、新島学園短大(高崎市昭和町)で19日から公開される。収容所内で神父と親交のあった画家が描いたもので、現在は福島県白河市の「アウシュヴィッツ平和博物館」が所蔵する。同博物館以外の公共の場所で一般公開されるのは初めてという。

 この神父は、1930〜36年に長崎などで布教を行ない、修道院などを開いたマキシミリアノ・コルベ神父(1894〜1941)だ。同博物館などによると、帰国後、ナチスに批判的だとして41年にアウシュビッツに。数ヵ月後、脱走防止の見せしめとして餓死刑を言い渡された妻子ある男性の身代わりを申し出た。

 水と食事を与えられないなか、ほかの受刑者を励まし祈り続けたが、3週間ほどして薬殺された。男性は収容所から生還、95年に93歳で亡くなるまで神父の生き方を伝えたという。

 ペン画はポーランド人画家ミェテスラフ・コシチャルニャックさん(1912〜93)が89年に描いた。神父と同じ建物に収容されて親交を深め、戦後、収容所の実態を絵で告発したことで知られる。

 90年前後に白河の平和博物館が入手したが、07年秋まで保管場所がわからなくなっていた。全部で11枚あり、コルベ神父が身代わりを申し出る場面や餓死牢で祈る姿のほか、殴られながら強制労働させられる姿なども描かれている。

 新島学園短大は今回、創立25周年事業の一環として、ペン画などを展示する「コルベ神父原画展」を企画した。牧師も務める山下智子准教授は「人間性を失わせる環境の中で、神父は逆に愛や思いやりを強くした。原画を見て、いざ自分が苦しい状況に陥った時に神父の生き方を思い出してもらえれば」と話す。

 24日まで。滞日中に撮影された神父の写真なども展示する。問い合わせは同短大(027・326・1156)へ。