長野日報2009年(平成20年)12月24日(火)
新聞掲載記事

戦争の悲惨さ伝える
富士見の古民家 コルベ神父原画展

 富士見町烏帽子の古民家で、『自らの命を他者に捧げたアウシュヴィッツの聖人『コルベ神父』原画展』が開かれている。展示したのは、福島県白河市のアウシュヴィッツ平和博物館から借りたペン画十一点。第二次世界大戦時、ナチスの強制収容所で亡くなったコルベ神父の最期の姿を描いた連作で、昨年秋、同博物館の倉庫から偶然見つかった。戦争の悲話を語り継ぐ貴重な作品。来年の全国巡回展に先がけて展示した。二十八日まで。
 主催は住民有志の「アウシュヴィッツ平和博物館富士見友の会」。古民家を立沢から移築・再生した大工の棟梁、塚田一敏さん=諏訪市=が博物館建設に際し、ボランティアで協力したことや、ペン画十一点の額を古民家の家主、藤井宏志さん(七〇)が担当したことなどから原画展が実現した。博物館以外で原画が展示されるのは初めて。
 マキシミリアン・コルベ神父(一八九四─一九四一年)は長崎県で布教活動をしたポーランド人。一九四〇年にナチスへの不服従者としてアウシュヴィッツ収容所に送られた。餓死刑に処せられる若い男性の身代わりを申し出て、地下牢で水や食料を二週間以上断たれた後、薬殺された。原画は収容所で神父と同室だったポーランド人画家が描いた。
 原画はほぼB4判の大きさ。餓死牢での神父や、刑の執行を待つ姿、強制労働のようすなどが描かれている。主催者の一人、藤井知恵子さん(六八)=富士見町烏帽子=は「世界でテロや戦争が発生し、日本でも殺人事件が頻繁に起きている。自分本位の世の中になっていく今こそコルベ神父の思いを知ってほしい」と話す。原画展のお問い合わせは藤井さん(電話65・3922)へ。(川合弘人)
長野日報 12月24日(水)掲載