朝日新聞2008年(平成20年)11月17日(月)
新聞掲載記事

「731」問い不戦の歌声
白河で合唱組合「悪魔の飽食」

 旧日本軍の細菌戦部隊「731部隊」をテーマにした混声合唱組曲「悪魔の飽食」のコンサートが16日、白河市民会館であった。作家森村誠一氏(75)の同名ノンフィクションを作曲家池辺晋一郎さん(65)が音楽化した作品。4月から練習してきた地元の約80人を含む総勢約230人が、平和への願いを込めて歌い上げた。

 731部隊は第2次大戦中、細菌兵器の開発製造を手がけ「マルタ」と呼ばれる中国人やロシア人、朝鮮人の捕虜らに人体実験をした。81年に森村さんが本を出版し、実態を知られるようになった。

 7楽章からなる曲は、84年の初演をきっかけに全国縦断コンサートと銘打って各地で歌われてきた。「731部隊に何があったのか」という問いかけで始まり、「マルタの死を歴史のいましめとし 永遠の不戦を誓い合ってほしい」と高らかに歌い上げる。

 同市のアウシュヴィッツ平和博物館内の福島公演実行委によると、県内初公演となる今回、参加者を募ったところ、県南の市民合唱団を中心に30〜80代の主婦や会社員、公務員ら約80人が参加。4月から12日まで毎週、練習を重ねてきた。池辺さんもその間に2回指導したという。

 この日は森村さんも来場し、歌の前に池辺さんと語り合った。「福島は27歳の時に新婚旅行で訪れ、非常に思い出深い」と森村さん。「この歌は憲法9条にも触れる」とし、「9条がなければ思想、表現の自由もなく、この歌は歌えない。いったん戦争が始まれば人間性はない。9条は人間性を守るための条文でもある」と訴えた。