小渕館長のつれづれ

「いのち」の祭典

 「わたしからあなたへ あなたからわたしへ 愛がひろがるふくしまへ」をテーマに東北初の人権啓発フェスタが十月七、八の両日に郡山市のビッグパレットふくしまで行われました。今回で七年目を迎えた同フェスタは法務・文科両省と各都道府県の主催で全国で行われています。

 県内各地から人権問題に取り組む団体のブースが出展。当館もアンネ・フランクの展示を行いました。お隣のブースは、拉致被害者を支援する「救う会」。被害者救済の署名活動を行っている人たちの中に、私たちの博物館へも何度か訪れたことがあるという元気のいいおじさんが話しかけてきました。

 「日本も中国で同じようなことをやったんだよね。数の問題はともかくとしても、南京虐殺も、731部隊や従軍慰安婦の悲劇だって、絶対にあったと思うよ」。北朝鮮であろうと日本であろうとどこであろうと、すべての人権侵害に反対だという強い意志を感じました。私も署名させていただきましたが、拉致問題の一刻も早い解決を願います。

 はす向かいは「福島いのちの電話」の皆さん。県内に四ヵ所の支部を持ち自殺防止のために頑張っていらっしゃいます。「どうぞ、読んでください」。快活なおばさまがパンフレットをくれました。本県の自殺者数は、全国ワースト八位。年々増え続けているとのことで、心が痛みます。人々の心の連帯が必要です。私も何らか形で、お役に立ちたいと思っています。

 ほかにも、幼児虐待防止への取り組みや、高齢者、障害者、外国人等の人権を守るための沢山の展示があり、大変勉強になりました。大ホールでは、乙武洋匡さんや、母子殺害事件の被害者木村洋氏の講演会等が行われ、入り切れないほどの聴衆が詰め掛けました。

 そのほか、印象に残ったのは、福島女性の活躍の歴史をオラトリオ形式で伝えた舞台です。郡山東高校合唱団のすばらしい歌声と大型スクリーンに映し出される映像、朗読や寸劇を通して、古代から近世、現代に至る女性の活動が生き生きと甦ってきます。男女が助け合って生きる「男女共同参画社会」の魁となった人々の存在を知り、未来への希望がわいてきました。

 シンポジウムや学習会、ミュージカルなど、人権をテーマにさまざまな催しが行われ今回のフェスタ、出展団体同士の交流などがあまりできなかったのは残念でしたが、このように意義深い企画を進めてこられた関係者の皆さまに感謝いたします。「いのちの尊さ」を学ぶ私たちの博物館活動の意義を改めてかみしめた二日間でした。

 フェスタは終わりましたが、当館は開いていますのでぜひ、一度お越しください。今月二十七日は「芋堀り(無料)」もあります。秋の味覚を堪能してください。詳細は電話0248-28-2108へ。

2007年10月20日 福島民友新聞に掲載「みんゆう随想」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理