小渕館長のつれづれ

「杉原千畝の世界」

 前回に続いて杉原千畝物語です。投函の事業・第四回福島文化フォーラム「センポ・スギハァラ」の芝居は五百人もの参加者で、成功裏に終わりました。県内の皆さま、そして劇団「銅鑼」にご支援いただいて、感激の一日でした。

 開催にこぎつけるまでには、実行委員会の皆さまはもとより、本当にたくさんの方にご協力をいただきました。演劇鑑賞会、YMCA、コープふくしま、年金者組合、医療生協などの皆さんにはラストスパートをかけていただきました。わたしも実行委員会にお任せばかりして申し訳ないと思い立ち、八月になってから(遅い!)十四日間、福島市をはじめ郡山、会津、いわきへと足を運びました。最後のころは、白河と福島は近いなぁと感じるほどでした。

 博物館の会員、知人、紹介をいただいた方の住所を住宅地図で探し、突撃隊での訪問です。「えーっ、白河から来たの!」と驚いて、チケットを一枚買ってくれる、数枚のチケットを預かってくれる…たくさんの素敵な出会いがありました。今まで以上に関係が深まり、実り多い日々でした。

 福島市周辺の高校の演劇部員を招待したいと思ったのですが、すべての学校を回るには時間切れで、数校の招待に留まってしまいました。

 白河で活動を再開して五年、確実に福島県に根付き始めていると実感し感無量です。後援名義をいただいた一部のテレビとラジオで事前告知をしていただきました。前日に劇団の俳優さんと訪問し「最後のお願い」をして開催当日、福島民友新聞社などの紙面に掲載していただきました。おかげで当日券も出たんですよ!

 今回の芝居は、杉原千畝さんがビザの発給を決断するまでを描いたものです。生死をかけた発給を求めるユダヤ人の絶望と希望、杉原さんの究極の選択。わたしたち一人一人に問いかけています。たとえば“いじめ”にあった時、あなたは、どの立場にあるでしょう?被害者、加害者、傍観者…そして救済者。“いじめ”は子供の専売特許ではありません。大人社会こそ蔓延しています。

 政治家、公務員、会社、商店、学校、自治会等。あらゆる場所で、大人たちが“いじめ”を見て楽しんで?いるのです。そんな様子を子ども達は日常的に見せ付けられて育っています。嘘をついたり悪いことをした大人が「ゴメン」と謝っている姿がテレビの画面に映っています。謝れば済むことでしょうか。

 大人の責任です。「今時の子どもは!」なんて言っている人の顔が見たいものです。次の世代にどのような社会を手渡せるのか…真剣に真摯に向き合い、大いに議論すべきです。

 当館では、杉原千畝さんの功績を二回にわたり講演会と芝居で紹介。現在、博物館は、「杉原千畝の世界」展を開催しています。(九月〜十二月まで)ぜひ、ご覧ください。

2007年9月15日 福島民友新聞に掲載「みんゆう随想」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理