小渕館長のつれづれ

ファミレス開店

 夏至の日(6月22日)に、省エネをして環境問題について考えるために「キャンドルナイト」の催しに参加した方も多いのではと思います。

 一昨年展示室拡張のために増築した18坪のスペース。その床下で、近所の「外猫」が子猫を生み、育てていると気付いたのは昨年の9月でした。高さの違う床下に赤ちゃん猫が落ち込んでミャーミャー鳴いていたのです。たまたま、館を建てた大工さんがいて、厚い床板を切り取って救出したのです。その後、この赤ちゃん猫は母親と再開したのですが、これを縁に時々博物館を訪れるようになりました。早朝から狩りをして子育てに励む母猫に同情したボランティアの方が魚のアラなどのごちそうを与えたのが、よほどうれしかったのか、度々子猫(合わせて3匹)を伴って現れるようになりました。アウシュヴィッツのファミリーレストランの開店です。

 野良猫に餌をやることに問題があることは承知しています。でもこの騒動の中でいろんなことを学び考えさせられました。子どもの虐待、親殺し、日常的な殺人事件など。コンピューターに根を詰め過ぎて、生と死の判別もできない。もしかして、リセットすれば死人も生き返ると勘違いしているのでは…。

 私たちの博物館は、キジやハトが雛をかえす、タヌキやキツネも巣穴を掘るなど豊かな自然に囲まれています。この自然を活用してニワトリ、ウサギ、猫や犬などの動物も飼う。花も育て、芋、豆、大根も作る。こんな自然体験を通じて、人類の負の遺産の展示と合わせて、具体的に「いのち」を認識できる。そんな学習の場にしたいと願っています。とりわけ私自身が、あらゆる「いのち」との出合いにより、学び成長したと感じているからです。

 人類はもとより、すべての生き物が平和に共生できる世界になることを願い、今回で終了ですが、私の拙い文章がきっかけとなり、新たなる出会いがあることを楽しみたいと思います。ありがとうございました。

平成19年6月26日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理