小渕館長のつれづれ

AMNESTY

 アムネスティ・インターナショナルは、人権擁護団体です。「アムネスティ」とは「恩赦」の意味です。活動の中心は、「良心の囚人」の釈放などを求めて世界各国に手紙を送ることです。「良心の囚人」とは、政府批判などにより投獄された人を言います。

 当事者(政府などの責任者)に手紙を出すことは効果があります。自分が世界中の市民から手紙を受け取った場合を考えてみてください。気になるでしょう?

 実際に多数の手紙によって、今まで少なくとも4万人が釈放されています。手紙を送る目的は、人権侵害を受けている人々の状況の改革を求め、無関心ではないとメッセージを送ることです。

 アムネスティが人権と言うときは、世界人権宣言を基本としています。その第1条は「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である」と宣言しています。

 実際この世界では一人残らず誰もが差別されず自由に、無用な苦しみなく生きたいと願っています。人権の根拠はすべての人の共通に持つこの積極的で切実な願いです。こうして、世界人権宣言や各人権条約は必要最低限の権利を定義していて、これが誰もが守るべき約束なのです。ところが軽蔑や憎しみなどの否定的な感情を持ったり自分勝手な都合を優先したりする場合に、この約束は破られます。

 私はアムネスティの活動を応援している一人です。はがき1枚を出す行為により、ひとりの命が助かる可能性があるのです。私たちの博物館は、資料を通して「いのち」の大切さを感じてもらいたいと願っていますが、アムネスティの活動は、現在起きている人権侵害を糾弾し、救済することが可能です。また、アムネスティは死刑廃止を訴えています。被害者感情が最も重い課題ですが、真に犯罪を抑止し被害者を救済する未来はどうあるべきか、広く落ち着いた視点で考えたいと思うのです。

 想像してください。すべての人々が平和に暮らす世の中を。

平成19年6月5日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理