小渕館長のつれづれ

「日本の青空」

 鈴木安蔵(1904-83年)を知っていますか? 南相馬氏出身の憲法学者です。旧制二高(現東北大学)を卒業し、京都大学哲学科に進み、その後経済学部に転入学します。第一回の治安維持法違反事件に引っ掛かり投獄されます。その後大学を退学しますが、在野で憲法の研究をしました。フランス人権宣言・ワイマール憲法などさまざまな国の憲法や明治の自由民権法案に精通していました。戦後は静岡・愛知・立正の各大学で憲法学・政治学を講じました。

 戦後、連合国軍総司令部(GHQ)からの要請で新しい憲法を作るため、日本政府・各政党・民間団体などさまざまな憲法草案が出されました。その中で鈴木安蔵が中心となって民間人の「憲法研究会」が作成した草案が、実はGHQのお手本となっていたという事実。

 1945年12月、「憲法研究会」が草案をGHQなどに提出。これを基に作られたGHQ草案を日本政府が受け入れ協議、修正し、46年11月3日に「日本国憲法」公布。47年5月3日に施行されたのです。

 来月3日で日本国憲法が施行されて60周年になります。日本人の誇りを憲法に託した鈴木安蔵の半生を描いた劇映画が「日本の青空」です。いま、自主上映の運動が全国に広がっています。現憲法がGHQにただ「押し付けられた憲法」ではないという事実を、たくさんの方に知っていただける良いチャンスだと思います。あなたの街でも自主上映をしてみませんか!

 憲法は私たち国民が守らなければならない規範ではありません。権力者が守る、為政者を縛る規範です。とすると、随分憲法違反をしている政治家がいるように思います。でも罰せられません。なぜなら、その法律がないからです。おかしいですね…。

 「日本国憲法」に守られて60年間、私たちは戦争・紛争・テロに巻き込まれない生活を送ることができました。戦時下の生活が、どれほど悲惨であるか言うに及びません。私たち日本人は「平和憲法」を誇りとし、この時期にあらためて考えてみてはいかがでしょうか!

平成19年4月24日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理