小渕館長のつれづれ

古民家

 私たちの博物館は古民家です。おそらく日本中にも古民家を利用した施設は少ないと思います。茨城県にあった築200年の民家を移築しました。長野県の大工さんの指導のもと、素人大工ボランティア延べ200人の力を結集して完成させました。200年以上前に切られた材木で、根っこはありませんが今でも生きています。会津地方の民家の梁はど太くはありませんが、気候・風土に応じて声を出しています。古い民家を壊すことは簡単です。生きているものを大切にすること、保存することは、いまの時代には残念ながらしんどいことです。

 戦争が起これば、一気に環境が破壊されます。これを取り戻すには何十年もの年月がかかります。ということで、生きとしいけるものに心を砕くことが環境を守り、日々の生活を豊かにさせるものだと思っています。博物館の建物を見ることで、そのことを感じ取っていただければ、ボランティアのみなさんの思いが通じるでしょう。

 ここで博物館の展示構成を紹介します。もちろん中心はアウシュヴィッツ収容所の記録写真と囚人服などの遺品です。若い方にも伝えやすいという思いもあり、「アンネの日記」で有名なアンネ・フランクコーナーがあります。みずみずしい感性で最後まで夢や希望を捨てないで隠れ家生活を耐え、その後、残念ながら15歳の時に収容所でチフスにより命を落としました。

 「レスキュアーズ」のコーナーは、ホロコーストの時代に目の前で助けを求めるユダヤ人を救った市井の人々の物語です。「助けを求めているのだから当たり前でしょう」というレスキュアーズ。自分・家族・親友や友人の命を失うことになるかもしれない救済に、身を投じることが当たり前でしょうか?あなたは「いじめ」を救済することができますか?敷地内にある貨車には、ポーランドの子どもたちが、自分の戦争の記憶を作文や絵に表したものを展示してあります。

 「アウシュヴィッツ平和博物館」と名前を冠した博物館は白河だけです。ぜひ、民間の手作りボランティアによる施設をご覧ください。お待ちしています。

平成19年3月13日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理