小渕館長のつれづれ

子どもの目に映った戦争

  1月27日(アウシュヴィッツ収容所の解放記念日)、犠牲者を追悼して行った「アイス・キャンドル」は雪景色にはなりませんでしたが、心配していた強風もなく、約700個の氷の火屋にキャンドルがともりました。平和のシンボルのハトならぬハートのデザインと200mに及ぶキャンドル・ロードは幻想的でした。近くの小・中学生たちも大勢で手づくり火屋を持ち寄り、楽しんでいました。白河の冬の風物詩になるかも?

 自己紹介が遅れてしまいました。今日は、私たちの博物館についてお話します。私たちの活動は、20年ほど前の「子どもの目に映った戦争」原画展から始まりました。これは第2次世界大戦中、ナチス・ドイツに侵略されたポーランドの子どもたちが自分の戦争体験を作文や絵画に描き残した原画の展示会です。北海道から沖縄まで約1年間に55箇所で開催され、ほとんどが市民による実行委員会の形式で取り組まれました。日本で、その作品約150点を翻訳し「子どもの目に映った戦争」という画集を出版するためにグリーンピース出版を興したのが、いまは亡き青木進々でした。その時、私は画集を買った一読者にすぎませんでした。

 その後、1988年から青木進々とともに「心に刻むアウシュヴィッツ展」のネーミングで、12年間に全国110都市で巡回展を行いました。これも多くが、自治体や市民の手づくり開催となり、実行委員会にかかわった人も含めて約90万人の参加者を集めました。とりわけ、沖縄展では6日間で約3万人もの入場者があり、大反響を呼びました。アウシュヴィッツ収容所の記録写真、強制連行された人々の没収品、人間の脂肪で作ったせっけんや数々の遺品の訴える重みに多くの人が驚き感動し、命の大切さと平和の重みについて共感し、二度と戦争を起こしてはいけないと思ったことでしょう。

 これらの市民運動を通して積み重ねられた無数の努力によって、2000年に博物館は開館しました。03年に白河市に移転し、翌年にはNPO法人の認可を得ました。「足は地域に根ざし、眼は世界を見据えて」をモットーに仲間を増やし前進しています。

平成19年2月20日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理