小渕館長のつれづれ

アイスキャンドル

 ここ白河市には、今冬はまだ本格的な雪はありません。例年より少し暖かいのでしょうか。しかし、私たちは新年早々、忙しく動き回っています。雪の到来を期待して…というのは、1月27日アウシュヴィッツ収容所の解放を記念して、犠牲者を追悼し、命と平和の大切さを思い「アイスキャンドル」イベントの準備に没頭しているのです。アイスキャンドル実行委員長をはじめ館のスタッフやボランティアの皆さんと。

 アウシュヴィッツとは、ポーランド南西部の小都市オシフェンチムのドイツ名です。ここでは、第二次世界大戦中ナチスドイツにより当初は反ナチスの社会主義・共産主義者、ポーランドの聖職者や教師などの社会的指導者らが捕えられ、政治犯として虐殺されました。後にヨーロッパ各地のユダヤ人が収容されガス室で殺され、絶滅収容所として存在したのです。ここで殺されたユダヤ人は、ヨーロッパ全体で600万人といわれる犠牲者のうち実に4分の1、150万人に上るのです。

 アウシュヴィッツは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されています。日本でも私たちが心に刻み伝え続けるべき人類普遍の課題があります。一昨年、このアウシュヴィッツ解放60周年を記念して、ヨーロッパ各地ではさまざまなイベントが行われ、各国首脳がアウシュヴィッツに集い慰霊したのですが、日本では私たちの博物館以外、この世界的なメモリアルイベントに参加した団体はありませんでした。その館のイベントが「アイスキャンドル」です。

 ところで、アイスキャンドル、どんなふうにイメージしていますか? 小さな氷の火屋の中にキャンドルを灯すのです。雪の世界に、ほのかな灯がゆらめくさまを想像してください。なんと幻想的か。氷の火屋はバケツ・牛乳パックや酒パックを利用して作ります。27日ぜひお出かけください。

平成19年1月25日 河北新報に掲載「微風・旋風」
アウシュヴィッツ平和博物館長 小渕真理